掘りごたつに集まる家

CIH_07美しく豊かな自然環境が広がる、八ヶ岳の緩やかな裾野に位置する住宅。
既存の景観を損なわないことと、豊かな自然環境を建築に取り込むことを意識し計画を行い、家族全員と親戚一同が集まれる大きなリビング・ダイニングを中心に、各室を配置し常に一体感を感じられる空間を構成している。
リビング・ダイニングには掘りごたつを採用し、家族の集いを意識させ、南側と北側に大きな開口を設けることで、冬場は光をふんだんに取り入れ暖かい空間に、夏場は風が抜け涼しい空間となる。
南側は、半屋外の土間状のテラスが広がり、庭との中間領域として緩やかに外部をリビングに取り込む役割をはたす。屋内にも屋外にも属する中間領域のテラスは、内部と外部を繋げるだけでなく、それぞれに広がりを与え、空間に豊かさを与えてくれると考えている。
リビング・ダイニングには薪ストーブが設けられ、上部の大きな吹抜けを通して2階までの住宅全体を暖めてくれる。吹抜け廻りには本棚とスタディコーナーを設け、2階からも家の中心がリビング・ダイニングだと意識され、常に家族全員が集まっている状況を生み出す。
リビング脇に設けられた和室は、リビング・ダイニングの一部となる他、客間としての機能もあわせ持つ。また全体のボリュームからはみ出した配置は、リビングからは半屋外のテラスと庭を囲い込み外部空間との一体感をさらに意識させ、アプローチ部分では優しく玄関に招き入れる役割をはたす。
室内の仕上には部分的に木材を採用し温かみのある空間とするほか、元の住宅に使用されていた地元の鉄平石を一部採用し、記憶を継承することを意図した。外部の仕上も板張りや木ルーバーを採用し、自然環境に馴染む外観としてる。
中心がはっきりした住宅は、住む人の絆を深めるだけでなく、豊かな自然環境とも一体となる気持ちの良い空間になると考えてる。

建設地:長野県茅野市
敷地面積:292.82㎡
建築面積:109.30㎡
延床面積:157.85㎡
規模:木造 2F
竣工:2011年11月

Power Photo By Ryota Atarashi