千川BOX

TMH_04豊島区千川の閑静な住宅地に建つ完全分離型の2戸長屋の計画。
東側と南側道路の角地で、東西に長いため、北側の高さ制限が厳しい敷地である。
可能な限り矩形な建築を求められたため、敷地内の高低差を利用することと、階高を最小限に抑えることで長方形のBOXに見えるよう計画を行った。
BOXとしての形態を強調することと、クライアント要望である地震に強い家と、1戸を賃貸住宅とする可能性もあることから、鉄筋コンクリートの壁式構造を採用。敷地からは、東南方向に視野が広がることと、鉄筋コンクリート構造の自由さから、東南と西南の角に柱を設けない形状とし、大きさと位置を変えた開口部をランダムに配置し建築に表情を演出している。
完全分離型の2戸長屋とするため、それぞれの出入口は対角線に配置し、1階の住戸と2階の住戸からなる。1階の住戸は、道路に直接面するため、開口部の位置を調整しながらプライバシーの確保を図っている。東南の角は高窓とし、周囲からの視線を気にすることなくふんだんに光を取り入れることができる。住戸内は、ほぼワンルームとして、自由な住まい方を可能にする他、室内に光と風を行き渡らせる計画とした。
2階住戸は、東側にリビング・ダイニングを設け、東南からの光をふんだんに取り入れ明るく開放感のある室とし、隣接する和室は、建具の開閉によって、個室としてもリビングの一部としても機能させ、住宅全体に広がりを与えている。西側に位置する寝室は、活動的なリビングダイニングから最も離れ、静かさと落ち着きのある室として、また連続するテラスは、隣地からの視線を遮る木ルーバーに囲われ落ち着いたプライベートガーデンとして機能することを意図した。
異なる生活スタイルを持つ2つの住戸を長方形のBOXの中に閉じ込め、1つの建築として表現している。

建設地:東京都豊島区
敷地面積:134.51㎡
建築面積:93.97㎡
延床面積:180.30㎡
規模:RC造 2F
竣工:2011年12月

Power Photo By Ryota Atarashi