鷺宮の集合住宅

STM_01中野区鷺宮の店舗+1Kタイプ10戸の集合住宅。
計画地は間口が約7mと狭く、奥行きが約20mと長い。また近隣商業地域でありながら、住居系の用途地域と隣接するため日影規制の影響を受けることになる法規上の条件が厳しい敷地。
加えて昨今の賃貸集合住宅を取り巻く状況からくる条件(収支・家賃・空室率・募集・検索などなど)も満たすことが求められる。賃貸住宅を経済活動として捉えれば、建設コスト・収支・家賃収入・利益は絶対的な条件となる。
必然的に求められる戸数と従来の住戸プラン。ここに空間の豊かさを加え、住み心地の良い魅力のある集合住宅を創造することが課題となった。
本計画では、道路側に2住戸、敷地奥に1住戸を配置。中央に窓先空地となる吹き抜けと半屋外の共用部を設け、敷地奥の住戸にも光と風が入る計画とした。
前面の2住戸は道路側にバルコニーを設けず、中央の共用部側にバルコニーとしても機能する専用の『土間テラス』を計画。吹き抜けを含む共用部と各住戸に、より明るさと広がりをもたせている。
全住戸が有する専用のエントランスとなる『土間テラス』は、テラス、駐輪場など自由な使い方ができ、光と風を住戸内につなげる(通り抜ける)役割をはたすことになり、単調になりがちな住戸プランに豊かさと変化を与えている。また目隠し、カーテンレール、ガラスフィルムを設けプライバシーにも配慮した。
共用エントランスは、ピロティ状の緩やかなスロープとして計画。先にある吹き抜けと照明計画により先に進む楽しさを演出した。
賃貸集合住宅を取り巻く環境は経済的にも将来的にもまだまだ厳しい。生き残れる賃貸住宅は何か、事業側の要望と社会的なニーズの両面から考慮した豊かで魅力的な建築の創造が求められているように感じる。

建設地:東京都中野区
敷地面積:129.99㎡
建築面積:103.19㎡
延床面積:412.76㎡
規模:RC造 4F
竣工:2014年1月

Power Photo By Ryota Atarashi